フランス、「マクロン政権」に対する抗議デモについて
フランス全土で、マクロン政権に対する抗議デモが起こっています。
直接的には燃料税引き上げ反対の抗議活動ですが、マクロン大統領の政策そのものに対する大きな反発があります。金持ち優遇ではないか、という庶民の反発です。
企業を優遇することによって経済を拡大し、そのことによって国民の所得も増やしていくという政策ですが、このことが逆に「金持ち優遇」と捉えられてしまっている面があると思われます。
抗議デモは「黄色いベスト運動」と呼ばれ、規模の大きなものに膨れ上がっています。
特に主催者がいるわけではなく、自然発生的に多くの人が集まったものだと言われています。
また、一部は暴徒化し、略奪行為も行われるなど混乱が続いています。
言うまでもなく、略奪行為や破壊行為は決して許されるものではありません。それはデモの意図とは全く関係がなく、違法行為への対処はしっかり行うべきです。
但し、映像としてその行為がクローズアップされて報道される面もあるため、全体がそのような過激な活動を行っているという印象を持たれがちです。もちろん、全体がそうだというわけではありません。
また、黄色いベスト運動とは関係のない人が、混乱に乗じて違法行為を行っている場合もあります。
暴徒はあくまで一部であり、多数はデモという正当な権利を行使しています。通常の健全なデモが行われるなら、それは国民の意思表示の一つの方法です。
政府が国民の意図に反する政策を行っても、時間が経ってから選挙が行われる場合は、選挙ですぐに意思表示をするわけにはいきません。
これにはメリットとデメリットがあります。
国民の意に沿わない政策であっても、大所高所から行うべき政策もあります。
そういう意味では、時間が経って人々が冷静さを取り戻してからそのことの是非を問う方がいい場合もあります。
しかし一方でデメリットもあり、記憶から薄れていくと誤った政策であってもそのまま国民の承認を得たとして進んでいく可能性もあります。
政府の方向転換を促すためには、デモという意思表示は一つの手段です。
但し、デモは多人数になれば群衆の興奮で過激な方向に行くリスクもあるため、あくまで正しいデモという条件が必要です。
実際、今回の抗議デモによって、マクロン政権は、燃料税引き上げの延期を発表しました。
もちろん税の問題や経済の問題には様々な側面があるため、どのように国民とのコンセンサスを取っていくのかが重要になります。
就任当初のマクロン政権の高い支持率も、現在は低迷している状態です。
マクロン大統領自身が、庶民に寄り添った政策ができないのではないかという疑念を持たれています。
その疑念を払拭していかない限り、政権運営は厳しいものになっていくものと予想されます。